再現フレンズ

司法試験系の論文試験の再現答案をあげるよ

明治ロー 2020年度 民法 再現答案

[問題1 小問1]

1.Bは、乙抵当権に基づきC債権を物上代位(372条、304条)するが、認められるか。

まず、抵当権には優先弁済権があるから追求効を認めるべきかが問題となるが、抵当権の趣旨は目的物の交換価値把握にあるから、乙建物の「賃貸」によりなし崩し的に得られた賃料という「金銭」(304条1項)にも追求効を認めるべきである。

2.とはいえ、AはCに対する2015年4月から2020年3月までのC債権を2015年1月に譲渡しているが、「払渡し」(304条1項但)がされた場合にあたり、物上代位が認められないのではないか。

将来債権譲渡は、2015年4月から2020年3月までと特定されているので公序良俗(90条)に反せずに認められるし、債権譲渡通知(467条2項)もされているので、第3者に対抗しうるが、抵当権の交換価値把握も保護する必要がある。

とすると、実際に賃料として発生した分だけを払渡したものとし、それ以降は払渡しがされていないと考えるべきである。

3.よって、2015年4月から2018年5月までは物上代位できず、2018年6月から2020年3月までのC債権は物上代位できる。

[問題1 小問2]

1.抵当権設定契約は、当事者間で目的物の交換価値を担保するためにされるものだから、抵当権設定者にしか抵当権の効力は及ばず、Aから賃貸借契約によって乙建物を借り、Fに転貸しているDには効力は及ばない。

2.よって、F債権に物上代位はできない。

[問題1 小問3]

1.BのAに対する請求は、甲土地の所有権に基づく物権的返還請求(202条1項、200条1項)としての甲土地明渡し請求である。

2.本件では、Aが占有をしていることは当然認められるので、Bに甲土地所有権があるかが問題となる。

⑴Bは、甲抵当権を実行し、自らこれを競売しているため、所有権があるようにも思えるが、乙建物は一旦崩壊しているから法定地上権(388条)がなければ、丙建物についての抵当権設定がされていないので抵当権が認められない。

⑵乙建物は崩壊しているので法定地上権は認められない。

3.よって、Bの請求は認められない。

[問題2 小問1]

1.本件では、Bが「債権者」たるAに対し賃貸借契約により生じた賃料債務を払うことが困難となっているので、「これを受領することができない」といえるが、Dは「弁済者」といえるか(494条)。Dの弁済が第三者弁済(474条1項)として認められるかが問題となる。

2.⑴Dは、甲土地の地代を建て替える旨をBに申し出たところ、「これは自分とAとの問題で、話し合っているところだ。Dには余計なところをしてもらいたくない。」と拒否されているから、「当事者が反対の意思を表示」(474条1項但書)しているから弁済できるようにも思える。

⑵しかし、甲土地の借地権が認められなくなる場合、乙建物の占有権限がなくなり、乙建物賃貸借契約の当事者であるDは収去義務を負うという「利害関係」を有するのでBの意思に反しても弁済できる(474条2項)

3.よって、Dの供託は有効である。

[問題2 小問2]

1.Dは、Cに対し、弁済の費用として弁済額の請求をすると考えられる(485条)が認められるか。

BのAに対する賃貸借契約の賃料債務について、Cは連帯保証契約(464条1項、454条)をしたので、DはCに対しても債務の履行を主張でき、Dに抗弁権はない。

2.よって、上記請求は認められる。

[問題2 小問3]

1.AB間の甲土地賃貸借契約が合意解除(540条1項、612条)した場合、乙建物の占有権限がなくなり、BD間の賃貸借契約も無効となりそうである。

2.しかし、甲土地賃貸借契約の恣意のみで乙建物賃借人Dの利害が害されると公平ではない。

借地権の目的である建物について、期間満了があったとしても建物の賃借人に一定期間は退去させることはできない(借地借家法35条)

3.よって、本件契約も一定期間が経過しないと無効とならない。

[問題2 小問4]

1.敷金の返還請求権を有するのはBである。敷金契約は、賃貸借契約中の賃料未払いや目的物修繕のための担保に用いられるものであるから、後の債務者についての賃借の担保まで負担する義務はないからである。

2.敷金の返還義務を負うのはEである。敷金契約は上記1の目的のためにされ、債権者たる所有者のために担保がされているからである。

以上