再現フレンズ

司法試験系の論文試験の再現答案をあげるよ

明治ロー 2020年度 商法 再現答案

[問1]

1.甲社「株主」であるAは、「定款一部変更の件」という議題につき、「『甲社の代表取締役は当社の株主総会決議によって選定する』旨の定款の定めを設けること」という議案を「提出」(304条)したが、甲社はこれが「法令もしくは定款に違反する」として拒否できないか。

2.⑴まず、代表取締役の選定は取締役会の職務(362条2項3号)である。

同条同号の趣旨は、経営の代表を経営の専門家である取締役で構成された取締役会が選定するという点にあるから、上記議案は趣旨に反する。

⑵さらに、「取締役会」は「代表取締役を選定しなければならない」(362条3項)ので同条項にも反する。

3.よって、362条2項3号・3項という「法令」に違反するので拒否できる。

[問2⑴]

1.「売渡株主」にあたるBは、本件売渡によって、乙社の議決権を失うことや株式の所有を失うなどの「不利益をうけるおそれ」があるが、売渡株式の取得をやめるよう請求できないか(179条の7第1項)

2.本件売渡請求に係る手続はすべて適法に行われたので、「株式売渡請求が法令に違反する場合」(同条項1号)や「179条の4第1項1号~又は179条の5の規定に違反した場合」(同条項2号)にはあたらない。

しかし、本件取得価格は「著しく不当」(同条項3号)だった。

3.よって、Bは乙株式の90%を有する「特別支配株主」(179条1項かっこ書き参照)に対し、上記取得の「全部」の差し止めができる(179条の7第1項)

[問2⑵]

1.Bは、本件売渡株式の取得について無効を主張できないか(828条1項11号)

取引安全との調和のため、無効原因は重大な法令・定款違反に限られる。本件では、取得対価が著しく不当であったものの、これは内部事情にすぎず取引安全を図るべきである。

2.よって、上記主張は認められない。

以上