再現フレンズ

司法試験系の論文試験の再現答案をあげるよ

中央ロー 2020年度 民法 再現答案

○答案 54/120点

【設問1】

1.Aからの甲カメラ返還請求は物権的返還請求権(民法202条1項、200条1項)と構成できる。ここで、CはBC間の売買契約に際し現実の引渡し(182条2項)を受けているので甲カメラはCにより占有されているし、本件ではAに甲カメラの所有権が認められるかが問題となる。とすると、アの構成はBC間の売買契約により、イの構成はAC間の売買契約によってCに所有権が移転したと反論しようとしていると考えられる。

2.アの構成について

⑴アの構成はBを売主としているが、BはAに写真スタジオの管理を任されただけであり、甲カメラについては無権利者である。とすると、Bと売買契約をしたCも無権利者となるが、即時取得(192条)が認められないか。

⑵Cは、無権利者であるBから売買契約という「取引行為」により、現実の引渡しを受け「占有を始めた」。そのため、「平穏~公然~善意」が186条1項により推定される。Bが甲カメラ所有者であることを知らなかったことの無「過失」については188条によって推定される。BはCに対し甲カメラが写真家のAのものであることを説明したが、現在の所有者が誰であるかについてCに説明しておらず、Cもそれについて訊いていない。外観上Bが管理しているスタジオに甲カメラがある以上、Bが所有者と考えて質問しないことに過失はない。

とすると、Cは甲カメラについて即時取得により所有権を原始取得することになり、Aに所有権は認められない。

⑶以上より、アの構成は反論として認められる。

2.イの構成について

⑴イの構成はAを売主としているから、AC間で売買契約が成立していることが認められることが必要である。とすると、Cに直接甲カメラの売買契約の意思表示をしたBに「代理~権限」(99条1項)が必要だが、Bはスタジオ管理のみ任されていただけなので売買契約につき無権代理(113条1項)となる。そこで、表見代理が成立しないか。

⑵AはCに対して代理権を与えていないので110条、112条の表見代理は成立しない。

そこで109条による表見代理が成立しないか。同条の趣旨は外観法理にあるので、「第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示」とは外観につき第三者が信頼したことを指す。本件では、AのスタジオをBが管理を任されているのみであるが、Bは甲カメラを含むスタジオを管理しているので売買契約についての代理権を与えた外観があったといえ、それをCが信頼した。

しかし、AはBにスタジオの管理を任せただけなのに、許可なく甲カメラを売却されたのでAに帰責性はない。

⑶そのため、CはAの追認(113条2項)がなければCA間に売買契約は成立せず、甲カメラの所有権はAにあることになるが、Aはカメラを返還請求したいるので追認しないだろう。

⑷以上より、イの構成は反論として認められない。

【設問2】

1.⑴本件で、Bを売主として構成した場合、Cが甲カメラがBでなくAの所有であることを知っていたのに、カメラを手に入れるチャンスだと思い何も言わずに購入したから「善意」(192条)の推定が覆され即時取得は成立しない。

⑵とすると、CはAの無権代理人Bとの間でAと直接売買契約をしたとして、本件売買契約はAを売主となると考えられる。

ここで、AはBの無権代理行為につき、Bさんが売ってくれて喜んでいる、代金300万円を自身の口座に支払って欲しいという旨述べている。これは、Aが代理を認め自己に売買契約に基づく代金債権支払いをするよう求めるものだから、113条2項の追認にあたる。

そのため、本件売買契約はAC間で成立する。

⑶CはBの貸金債権200万円と相殺したいのであるから、Aとの契約が無権代理であり無効と反論するかもしれないが、信義則(1条2項)から認められない。

相殺についてもAに対して債権を持っているわけではないので、認められない。

⑷よって、CはAに300万円支払うべきである。

以上

○感想

債権法改正の影響から物権が出る可能性が高いという予想立てられるし、過去問で頻出だったことから即時取得は最低限なのかな。

設問1は、内容は理解しやすかったが反論を書くという指示から書き方に頭使わされました。

他人物売買は検討すらしませんでしたが、「パンデクテンに従う」という4Aの教訓的には反省です。しかし、他人物売買にした場合はAは追認しないだろうから結局Cに有利になる即時取得に流れるのであまりダメージはないのかな?

設問2は、自信ないし何が主題かわかりません。そもそも、追認をあっさり認定しましたがあってるんですかね?

民法は毎年、現場思考問題が1題くらいあるのはわかっていたので開き直ってやりました。