再現フレンズ

司法試験系の論文試験の再現答案をあげるよ

明治ロー 2020年度 刑訴 再現答案

【問題1】

1.自白とは、自己の犯罪事実の全部又はその主要部分を認める供述である。そのため、証拠としての価値が高いが、それゆえに自白を唯一の証拠とすることで、不任意による自白を強要されるおそれがある(319条1項)

とすると、類型的に虚偽を生じさせ誤判の危険を大きくなり、人権を侵害して自白を得てしまう可能性があるから、これを防ぐために319条2項の規定がある。

2.とすると、共犯者の自白は自己の犯罪事実に対するものではないし、被告人に対する上記弊害が生じないので、補強証拠は不要である。

【問題2】

1.捜査①について

⑴P警察官は、このボストンバッグという「物」を捜索しているが、本件捜索差押令状は「捜索すべき場所」として「Dマンション308号室甲方居室」としかないし、「被疑者」甲でなく乙の物に対する捜索なので令状の効力が及ばず違法ではないか。

⑵同令状は、甲が自宅マンションを拠点として覚せい剤の密売をしているとの情報を得たため、内偵捜査を進めたところ、複数の常連客に覚せい剤を売りさばいている疑いが判明した。そのため、覚せい剤取締法違反の被疑事実についての証拠存在の蓋然性、証拠の散逸・破壊防止・確保のために発付された。

⑶とすると、乙には上記被疑事実がなく発付要件が原則認められないが、上記発付要件にあたるような特段の事情があれば捜索できると解する。

Pら6人の警察官は、証拠隠滅工作を防ぎ、在室者が玄関扉を開けたときに入室して捜索を実行できるよう張り込みを続けてきたが、乙は外出しようとして玄関扉を開け、顔を出して室外の様子をうかがうような態度を示した。

そこで、Pらは捜索を開始し、乙が持っていたボストンバッグの提出を再三求めたのに乙はこれを拒否した。

上記事情から、乙のバッグには証拠存在の蓋然性があり、証拠の確保等のため、捜索が認められるべきである。

⑷よって、捜査①は適法である。

2.捜査②について

⑴Pは、配達された宅配便について、中身を確認したが、甲は「開封はしたくない」と拒んだのに荷物を開封したから、プライバシー権(13条)を侵害する重大な権利利益を制約を伴う「強制の処分」(197条1項但書)といえる。

⑵そのうちの「捜索」(218条1項)にあたるが、本件捜索差押令状は「捜索すべき場所」を甲方としているのみであり、本件荷物という「物」については記載していない(219条1項)

本件令状は上記1⑵の要件で発付されたが、捜索開始前か後のいつの時点で荷物が搬入されるかは偶然の事情であり、配達物についても「捜索すべき場所」の範囲内にあるといえる。

⑶よって、捜査②は適法である。

以上